コタエルでは、OCAモジュールを利用すること、また、汎用的な追加開発についてはOCAモジュールとして登録することをお客様に推奨しています。OCAを利用することの意義やメリットについては過去のブログ記事で紹介していますので、下部の関連リンクからご参照ください。
今回は数あるOCAモジュールの中でも、日本でよく使われるコタエル作のOCAモジュールをランキング形式でご紹介したいと思います。コタエルが携わるプロジェクトから集計しました。日本で実際によく使われているOCAモジュールなので、日本の商習慣や日本人感覚のユーザビリティに向いているものが多いと思います。
コタエル作OCAモジュール5選
OCAモジュールの使用方法や必要な設定などの詳細情報は、リンク先の弊社フォーラム記事をご参照ください。
- 1位:取引先名の後ろに「御中」や「様」を表示:l10n_jp_partner_title_qweb
日本の商習慣では必須の「御中」や「様」を追加します。
- 2位:住所欄の表示を日本式の順番に変更:l10n_jp_address_layout
日本の住所表示形式「郵便番号、都道府県、市区町村、町名番地1,町名番地2」に変更するOCAモジュールです。
- 3位:メッセージ送信前に確認画面を表示:mail_send_confirmation
チャターのメッセージ作成画面にある「送信」ボタンが押された際に確認を求め、内部メッセージを外部フォロワーに誤送信する可能性を低減するOCAモジュールです。
- 4位:表示する文字列を変更:template_content_swapper
例:見積書の「販売担当者」を「営業担当者」に置き換え
QWebテンプレートのフロントエンド画面上やレポート上の文字列を設定により置き換えることができます。
- 5位:在庫トランザクションに「実績日」をもたせる :stock_move_actual_date
運送(入荷/配送/内部運送)や廃棄にて実績日(Actual Date)を指定できるようにします。指定した実績日は紐づく在庫移動および移動履歴に展開されます。また、入出庫にともない会計仕訳が生成される場合は、指定した実績日が仕訳の日付となります。Odooは実際のモノの移動にともないタイムリーにシステム入力する運用を想定しているため、標準機能には運送で過去日を指定することができません。
コタエル作のOCAモジュール一覧はこちらのOCA SHOP/APP STOREからご参照いただけます。日本で実際に要望のあった機能を開発していますので、ランキングに入っていないモジュールについても参考になると思います。
その他よく使うOCAモジュール
その他、コタエル作以外のモジュールを含め、よく使われるお勧めOCAモジュールを紹介します。
l10n-japanレポジトリは日本市場向けですので、このレポジトリ配下のモジュールはどれもお勧めです。
- 請求書に適格請求書発行者登録番号を表示:l10n_jp_account_report_registration_number
- 外部帳票のレイアウトで左側に取引先の住所、右側に自社の住所を表示:report_alternative_layout
- 合算請求書の印刷・税額調整機能:account_billing / l10n_jp_summary_invoice
- 月末日以外の締め日の支払条件の設定:account_payment_term_cutoff_day
- 税丸め方法の設定:account_tax_rounding_method
- 日本の郵便番号から住所を取得:l10n_jp_partner_zip_address
- 都道府県名に日本語訳を追加:l10n_jp_country_state
ここからは日本固有ではない、一般的によく使われるOCAモジュールを紹介します。
- マスタレコードの検索時に誤ってレコードを作成してしまうことを回避:web_m2x_options
便利なようでいてマスタを間違って作成してしまうことも多い、検索プルダウンからの作成・編集機能を無効にすることができます。
- テスト環境などでリボンマークを常時表示:web_environment_ribbon
テスト環境や本番環境を一目で区別できます。
- 開発者モードでしか表示されない各項目を常に表示:base_technical_features
- レコードの変更履歴を残す:auditlog
ログを取る対象のモデルを指定し、データの変更履歴を追跡するためのOCAモジュールです。
- マイナス在庫の発生を防止:stock_no_negative
Odoo標準機能では、システム上の在庫が0の場合でも実際の倉庫に品物がある場合には出荷したいケース(例えば、実際のモノとしては入荷はしているがOdoo上の入荷処理がまだ行われていない場合)などに対応するため、マイナス在庫が計上できる仕様になっています。マイナス在庫を認めたくない場合にはこのOCAモジュールが使えます。
- 検索日付範囲の事前設定:date_range
よく使用する日付範囲(Date Ranges)をあらかじめ設定しておくと、検索ビューのフィルタで日付範囲を指定しやすくなります。
- 添付ファイルの削除制限:attachment_delete_restrict
モデル別にどのユーザー、どのグループが添付ファイルを削除できるかを調整できます。
- フォーム画面に自在にバナーメッセージを表示:web_form_banner
任意のフォーム画面に自在にバナーメッセージを表示することができます。
- チャター内メッセージを検索:mail_message_search
チャター上のキーワードによる一致検索、複数のキーワードのAND検索を可能にします。
OCAモジュールの活用について
OCAモジュールを活用することのメリット
コタエルのお客様の1プロジェクト当たりの平均OCAモジュール利用数を集計してみると、”32”でした。これは導入中のプロジェクトも含めた数ですので、実際にはもっと大きい数字になると思われます。
OCAモジュールの利用数は、導入スコープ、利用エディションが企業版かコミュニティ版か、ユーザのスタンスやニーズによるところも大きいので、一概にこのくらいが適正水準とは言えません。コタエルの平均OCAモジュール利用数はあくまで参考数字とお考え下さい。
ユーザ企業が絶対に知っておくべきOdooパートナーの選び方のブログ記事「2. Odoo vs SAP」章でも書かれている通り、Odooは足し算のシステムです。「OCAモジュールの活用は、サービス事業者によるブレを抑え、安定した持続可能な環境構築を実現するための最も有効な手段」です。どのくらいOCAモジュールを活用しているか、が導入プロジェクトの成功の重要な鍵となります。
また、Odoo企業版規約改定(2025年7月)のブログ記事でも説明しているようにOdooの企業版の導入は今までより短いサイクルでのバージョンアップが前提になってくると思われます。個々のプロジェクトで開発をした全てのモジュールをバージョンアップ対応するのは開発コストの負担が大きくなります。カスタマイズを減らしつつ、汎用的な機能についてはOCAモジュールとすることで、バージョンアップにかかる負担を軽減できる可能性があります。実際、コタエルが開発したOCAモジュールでも他社の開発者がバージョンアップ対応してくださった事例も出てきています。お客様の負担で開発したモジュールをOCAに登録することは、お客様にとっても大きなメリットとなって返ってくると思います。
Odooの標準機能で足りない機能がある場合は、まずはOCA SHOP/APP STOREで検索してみましょう。今後ますますOCAの活用が重要になってきます。
OCAモジュールが使いたいバージョンに対応されていない場合
利用したいOCAモジュールは見つかったのだけれども、利用中のバージョンに対応されていない場合は、是非ご自分でバージョンアップにチャレンジしてみてください。一から開発するよりは少ない工数で開発できると思います。
こちらのリンクは、OCAモジュールをバージョンアップするときの手順(英語)です。
OCA関連の弊社ブログ記事
コタエルでは、OCA活動に力を入れています。また、お客様にもOCA活動へのご理解とご協力をお願いし、共に発展していけるエコシステムを日本でも構築したいと日々活動しております。その趣旨、活動内容を複数のブログで紹介していますので、是非ご参照ください。
【Odoo導入事例】SFA Japan様: Odooで本社連携を即時化、月中締めの合計請求書に対応
Odooコミュニティ協会(OCA)のブロンズスポンサーになりました
2025年版 日本でのOdoo導入で欠かせないコタエル作のOCAモジュール5選