WindowsパソコンにOdoo環境をセットアップする方法 ステップ by ステップ

2025年6月9日 by
WindowsパソコンにOdoo環境をセットアップする方法 ステップ by ステップ
Ryoko Tsuda (QRTL)

Odooのコミュニティ版を自由に試してみたい

自分のパソコン上でOdooのコミュニティ版を自由に、手軽に、試してみたいという方に向けた記事です。

今回説明する内容は、Windows11が動く通常スペックのパソコンさえ用意できれば、全て無料で試すことができます。パソコンには8GB程度の空き容量が必要です。

Odooを体験利用する方法については、こちらのブログ記事で複数の方法を紹介していますので、ご参照ください。

Odooの体験利用・インストール方法

今回は、上記の方法のうちパソコン上で「Dockerイメージを使用」する方法について説明します。

というのも、Odooを日本で利用する場合は、Odoo標準のままでは足りない部分があるので、日本向けのOCAモジュール(無料)をインストールする必要があり、そのためにはソースから起動するか、Dockerイメージを利用するのが便利です。

Docker Desktop(無料)を使うと、WindowsやMacパソコンでも簡単にOdooやOCAモジュールを利用できる環境をセットアップできます。

この記事では、DockerやOdooについて詳しい知識がなくても手順に沿って作業すれば、Odooの環境が簡単にセットアップできるよう解説します。


1.Docker Desktopをインストールする

Docker Desktopは、Windows、Mac、LinuxなどのOS上で、Dockerを使ってコンテナ化アプリケーションを開発・共有・実行するための、GUIアプリケーションです。ここでは、Windowsパソコンでのインストール方法について説明しますが、Macパソコン上でも動かすことができます。

①Docker Desktopをインストールするプログラム(インストーラー)をDocker のウェブサイト https://www.docker.com/get-started/ からダウンロードする

②ダウンロードしたファイルをダブルクリックして、起動し、「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」の確認メッセージに「はい」を選択する

③「Add shortcut to desktop」(デスクトップにショートカットを追加)については、任意の選択をし、「OK」をクリックする

④「OK」をクリック後、しばらく「Unpacking files….」と表示され、インストールが成功しましたのメッセージが表示される。「Close and restart」をクリックし、Windowsを再起動する


⑤Docker Desktopの初回起動時に諸条件の確認画面が表示されるので、内容を確認し、「Accept」をクリックする


⑥「Use recommended settings」(推奨設定を利用)を選択し、「Finish」をクリックする

⑦「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」の確認メッセージに「はい」を選択する

⑧メールアドレスの登録画面では、「Skip」を選択する。


2.OdooのDocker Composeファイルからコンテナを起動する


①docker-compose.ymlを作成する

https://hub.docker.com/_/odoo の「Docker Compose examples」を参照し、docker-compose.yml をメモ帳やVSCodeなどを使って作成する。

※docker-compose.yml ファイルのサンプル

services:
  web:
    image: odoo:16.0
    depends_on:
      - db
    ports:
      - "8069:8069"
    volumes:
      - odoo-web-data:/var/lib/odoo
      - ./addons:/mnt/extra-addons
  db:
    image: postgres:15
    environment:
      - POSTGRES_DB=postgres
      - POSTGRES_USER=odoo
      - POSTGRES_PASSWORD=odoo
      - PGDATA=/var/lib/postgresql/data/pgdata
    volumes:
      - odoo-db-data:/var/lib/postgresql/data/pgdata

volumes:
  odoo-web-data:
  odoo-db-data:

ポイント:
・Odooのバージョンは16.0を指定(日本向けOCAモジュールの対応が16.0が主なため)
・OCAモジュールを使用するため、/mnt/extra-addons をマウントする
※ docker-compose.yml ファイルはどこに保存しても問題ありませんが、以下ではユーザフォルダ直下にOdooフォルダを作成し、ここにdocker-compose.yml を保存した場合で説明しています。

②ターミナルを起動する(Winowsのスタートボタンを右クリックし、「ターミナル(管理者)」をクリック)


③ターミナル上で、docker-compose.yml を保存したフォルダに移動

例)ユーザフォルダ直下のOdooフォルダにdocker-compose.yml を保存した場合

cd ~/odoo

④ターミナル上で、コンテナを作成・実行

docker compose up -d

⑤セキュリティの確認画面で「キャンセル」をクリックする。


しばらく待つと、Odooコンテナが起動する。

⑥Docker Desktopを立ち上げて、コンテナの状態を確認する。

※ コンテナの起動、停止はDocker Desktopから行うことができる。


3.OCAモジュールをダウンロードし、/mnt/extra-addonsをマウントしたフォルダ(例: C:\Users\ユーザ名\Odoo\addons)に保存する


①下記のGithubから必要なOCAのレポジトリをダウンロードし、圧縮ファイルを解凍する

https://github.com/OCA/l10n-japan/tree/16.0

(account_payment_term_cutoff_day, l10n_jp_account_report_registration_number, l10n_jp_address_layout, l10n_jp_country_state, l10n_jp_partner_title_qweb, l10n_jp_summary_invoice, report_alternative_layout)

https://github.com/OCA/partner-contact/tree/16.0

(base_country_state_translatable)

https://github.com/OCA/account-invoicing/tree/16.0

(account_billing)


【主要な日本向けOCAモジュール】

Translate Country States: 国/州・都道府県の名前を翻訳可能にする(Japan Country Statesのインストールに必要)

Japan Country States: 日本語の都道府県名を追加

Japan Account Report Registration Number: 外部レポートレイアウトを拡張し、国内取引の請求書や領収書に会社の適格請求書発行者登録番号を表示

Japan Address Layout: 連絡先フォームの住所レイアウトを日本式(郵便番号→都道府県→市区町村...)に切り替えるためのデータを提供

Japan Partner Title QWeb: いくつかのレポートやウェブサイトのページで、取引先名に「様」や「御中」などのタイトルを表示するために必要な調整を行う

Report Alternative Layout: 既存の外部レイアウトを左側に取引先の住所、右側に自社の住所を表示するように調整する

Account Payment Term Cutoff Day: 支払条件機能を拡張し、月末日以外の締切日の支払条件(例: 25日締め翌月10日払い)の定義を可能にする

Billing Process: 請求書をグループ化(Japan Summary Invoiceのインストールに必要)

Japan Summary Invoice: 合算請求書の印刷機能。合算請求書は適格請求書として、税率ごとの請求書の合計金額に基づいて消費税を再計算する。

※ 日本の郵便番号から住所を取得する Japan Partner Zip Address モジュールは、pythonのパッケージ jaconvが必要なため、このdocker環境では利用できない。 

②解凍したフォルダから必要な下位フォルダを/mnt/extra-addonsをマウントしたフォルダ(例: C:\Users\ユーザ名\Odoo\addons)に移動する



4.アプリ・OCAモジュールをインストールする


①コンテナが起動している状態で、Webブラウザを立ち上げ、http://localhost:8069/ にアクセスし、データベースを作成する


②ログインする


③開発者モードを有効化するため、URLの”....../web”の後に、「?debug=1」または「?debug=true」を挿入する

※ 開発者モードが有効化されると、メニューバーに表示される項目が変わる


④アプリリストを更新する

メニューバーの「アプリリストを更新」をクリックすると、確認画面が表示されるので、「更新」をクリックする


⑤アプリで日本向けOCAモジュールをインストールする

アプリ画面で、検索フィールドに「japan」や「Account Payment Term Cutoff Day」などの検索ワードを入力し、検索結果から必要なモジュールを有効化する

※ 「アプリ」画面を表示するには、左上の四角をクリックし、「アプリ」を選択する


以前のバージョンでの説明ですが、基本的なところは共通していますので、Odooの基本的な操作方法や基本設定については下記のブログ記事をご参照ください。
OdooV14.0の基本共通操作
OdooV14.0の基本設定

YouTubeにて、日本向けOCAモジュールの説明などの発信をしています。ご参照ください。
https://www.youtube.com/@qrtlodoo

WindowsパソコンにOdoo環境をセットアップする方法 ステップ by ステップ
Ryoko Tsuda (QRTL) 2025年6月9日
アーカイブ