Odooの料金プランが改定されました

Odoo's new pricing
2022年11月9日 by
Odooの料金プランが改定されました
Ryoko Tsuda (QRTL)

Odoo Experience 2022   Keynote - Vision & Strategyのブログ記事でも書きましたが、Odoo Experience 2022においてOdooの料金プランの改定が発表されました。


Odoo社の"Odoo's new pricing"ブログ記事に沿って、Odooの新しい料金プラン、料金プラン改定の背景と目的について解説したいと思います。


新しい料金プラン


Odoo Experience 2022で発表された新しいOdoo料金プラン(日本)はこちらです。

アプリ単位の課金はなくなり、ユーザ単位での課金のみとなり、シンプルで分かりやすくなりました。



3つの料金プラン

単一アプリ無料プラン
エンタープライズ版アプリがひとつの場合はユーザ数に関係なく無料
無料プランは、クラウド上のOdoo Onlineにホストされているデータベース上でエンタープライズ版のアプリ1つに無料でアクセスでき、ユーザ数は無制限で、永久に使用できます。

標準(スタンダード)プラン
カスタマイズなし。28.30ドル/ユーザ/月(初年度22.60ドル)
スタンダードプランは、カスタム開発を必要としない企業にとって最適なオプションです。このプランでは、クラウド上のOdoo Onlineにホストされた標準データベースが提供され、必要なOdooアプリをすべてインストールすることができます。3つのアプリをインストールしても、70のアプリをインストールしても、価格は変わりません。

カスタムプラン:
カスタマイズあり。42.50ドル/ユーザ/月(初年度33.90ドル)
カスタムプランは、1つのデータベースで複数の会社を管理したい、またはOdoo Studio、カスタム開発(Odoo.shまたはオンプレミスでホストされているデータベースのみ)、またはAPIを通じてOdooデータベースをカスタマイズする必要があるビジネスに最適です。

※ 年次契約の金額です。月次契約の場合、金額は異なります。
※ 値引価格は、新規顧客の最初の12か月間、及び複数年の契約にのみ適用されます。
※ Odooのどのアプリがコミュニティ版に入っているかはOdooのエディション比較ページからご確認ください。

 新しい料金プランには、無制限のサポート、Odoo Onlineでのクラウドホスティング、メンテナンスが含まれます。


既存のお客様への対応


料金プランが新しくなりましたが、既にOdooをご利用のお客様には以下のような対応が用意されています。

新価格が現在の価格より安くなる場合:
今回の価格変更により、サブスクリプションがより安価になり、一部のアプリだけでなく、すべてのOdooアプリを利用できるようになります。すべてのアプリをすぐに利用できるとともに、次回のサブスクリプション更新時に料金が引き下げられます。

新価格が現在の価格より高くなる場合:
現在のユーザ数に変更がない場合は、現在の価格のまま、Odooのすべてのアプリにアクセスできるようになります。料金プラン変更に伴うサブスクリプションのコスト増はありません。
※ 月額課金のオンラインカスタマーを除く


Odoo Experience 2022   Keynote - Vision & Strategy 講演より


これまでのOdoo料金プランと理想的な料金プラン


Odooがなぜ料金プランを改定したのか、その背景と目的について説明します。

これまでのOdooの価格は導入したエンタープライズ版アプリのそれぞれの価格+ユーザ数で決まっていました。
つまり、以下のグラフのように従業員の数が多いほどユーザ一人当たりの価格は下がるという料金プランになっていました。



本来であれば、顧客がプロダクトから得られる価値に応じて価格が決まるのが理想です。

規模の大きい企業の方が統合システムから得られる価値が高いことを考えると、従業員の数が増えるほど1ユーザ当たりの単価が上がるのが最適な価格戦略と言えます。

例を挙げると、ヨーロッパでは、1ユーザのみの会社は平均月額96ユーロなのに対して、100ユーザの会社のアプリ価格をユーザ数で割ると、平均20ユーロとなっていました。



このため、これまでの料金プランには2つの問題点がありました。

・1~5ユーザのセグメントの顧客の機会損失
・規模の大きい会社からの収入の機会損失

今回の料金プラン改定には、このようなプロダクトの価値と価格設定のズレという背景がありました。




Odooの真の価値を考えるにあたって、競合他社の価格と比較してみましょう。
Odooは単なるERPではなく、CRM、POS、eコマース、eSign、HR、その他多くのソリューションでもあります。
それらのアプリの競合他社の価格を集計してみると、以下のような結果になりました。


Odooと同様のメインアプリだけで1ユーザ当たり484ドルです。
Odooにはそれ以外のアプリも含まれている上に、Odooを使えば各ソフトウェアの連携のための開発費用も不要です。

まとめ


今回の料金プランの改定は、小規模な会社にとって大きなメリットがある一方で、ユーザ数の多いエンタープライズ版利用の企業にとっては不利な変更となります。

ただ、全てのアプリの利用が可能となるため、Odoo以外のソフトウェアを利用している現在の業務を順次Odooに移行していくことにより、コスト削減が見込める可能性があります。また、現在は手作業で管理しているような業務をOdoo上でシステム化していくことにより低コストで業務の効率化が実現できることも考えられます。

システムをOdooで統一していくことにより、データベースの統合のメリットはもとより、ベンダーとのコミュニケーションコストや契約管理コスト、ユーザIDの管理やユーザ教育コストの削減、なども見込めることと思います。

また、 新しくシステムを導入するときには、情報の収集から見積依頼、機能と価格の比較検討、選定、社内稟議など多くの場合、かなりの時間とコストがかかります。Odooのすべてのアプリが同一価格で利用可能であるということは、Odooを横展開していくときにこれらのステップの多くをスキップできる、ということも考えられます。

コミュニティ版についてはこれまでと同様無料ですので、コミュニティ版の業務から導入を始めるのも一つの方法かもしれません。

どの規模の企業にとってもOdooの導入を検討する価値は高い、と思います。


Odoo導入をご検討のご担当者様、まずは是非Odooをお試しください。

Odooの簡単な説明は以下のBlog記事をご参考にしてください。(V14.0の情報ですが、V16.0でもほぼ同様に使えます。)

Odooの体験利用・インストール方法

OdooV14.0の基本設定

OdooV14.0の基本共通操作

Odooの料金プランが改定されました
Ryoko Tsuda (QRTL) 2022年11月9日
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