Odooとは
世界で圧倒的な人気を誇るオープンソースの業務アプリケーションスイートです。
Odoo(旧称OpenERP)はベルギーのOdoo S.A.社が開発している、世界で最も人気のあるオープンソースの業務アプリケーションスイートです。
機能を豊富に備え、操作性、拡張性、保守性の各面で優れており、圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。カバー領域は、従来のERPパッケージ守備範囲を越え、CMS、eコマース、イベント管理、ヘルプデスク等、多岐にわたります。多通貨・多言語をサポートするため、日本だけでなく、海外拠点での利用にも適しています。
Odooはデータベースサーバ(PostgreSQL)、アプリケーションサーバ(開発言語はPython)、ウェブクライアント(JavaScript)で構成されます。ユーザはパソコンに特別なソフトウェアをインストールする必要がなく、普段使っているウェブブラウザからOdooを操作することができます。
利用形態は、クラウド(Odoo社の SaaSや、 その他事業者のクラウドサービスなど利用)とオンプレミスの何れにも対応可能です。
世界1,850社(2019年4月時点)のパートナーがユーザ企業のOdoo導入・運用をサポートしています。
旧来の商用ERP
- ライセンス費用が高価。ウォーターフォール型の導入スタイルにより、工数見積もりが過大になりがち。
- ライセンス保守費用が高価。ベンダーロックインに陥りやすく、サポート費用も高価になりがち。
- 全体最適の実現を謳い文句に、操作性が軽視されがち。現場の作業効率が犠牲になるケースが多い。
- アドオン機能開発が高価。ベンダーがソリューションを自社で抱え込むので、市場原理による価格調整がききにくい。
Odoo
- サーバOS、データベース含め、ソフトウェアについての初期費用が不要。アジャイル型の導入スタイルで適正価格での導入が可能。
- リーズナブルな価格で Odooエンタープライズが利用できる。オープンソース志向のパートナーを選ぶことで、ロックインが避けられる。
- 操作性が重視されている。開発の柔軟性も高く、全体最適と現場の作業効率化の両立が可能。
- オープンソースコミュニティでの機能開発が活発で、開発費用が抑えやすい。アプリマーケットから機能を調達するオプションもあり。
Odooの機能一覧
これらの機能がすべてOdoo上で統合可能です。
Odooエディション
コミュニティ版とエンタープライズ版があります。
Odooはバージョン9.0より、無料のコミュニティ版と、有料のエンタープライズ版に分かれています。エンタープライズ版は、コミュニティ版(オープンソース)+エンタープライズモジュール群(プロプライエタリ)で構成されています(オープンコアモデル)。
コミュニティ版は、次のリンク先から取得することができます。
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夜間ビルドページ: https://nightly.odoo.com/
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GitHubのOdooレポジトリ: https://github.com/odoo/odoo
エンタープライズ版の取得には、 Odooエンタープライズ(エンタープライズ版の使用許諾にその他サービスがバンドルされたサブスクリプション型サービス)への加入が必要です。
LGPLv3ライセンスは、GPLv3やAGPLv3と互換性があり、プロプライエタリなプログラムも、LGPLv3ライセンスのプログラムに依存することが可能です。
このライセンスの採用により、Odooはオープンコアビジネスモデルに移行するとともに、 アプリマーケットでのプロプライエタリモジュール販売が可能になりました。
リリースサイクル
1年に1回のペースです。
Odooのメジャーバージョンは、ここ数年は、 毎年10月に開催されるイベント「Odoo Experience」のタイミングに合わせて、1年に1度のペースでリリースされています。
Odoo社によるサポート対象バージョンは、最新のメジャーバージョンおよびその2世代前までです(2022年10月時点で次のテーブルの太字のバージョンがサポート対象)。
お使いのOdooを新しいメジャーバージョンにアップグレードしたいとき、エンタープライズ版をご利用の場合は、Odoo社のデータベース変換サービスが利用可能です。 コミュニティ版をご利用の場合は、コミュニティにてサポートされるOpenUpgradeを使用してのアップグレードを検討するのが現実的です。
名称 | バージョン | リリース | 主な変更点 | ライセンス |
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Odoo | 16.0 | 2022/10 | UI刷新(保存ボタン撤廃)、ナレッジアプリ追加、ダッシュボード機能刷新、大幅なパフォーマンス改善等、Odooエンタープライズ価格改定(ユーザ課金に一本化) | LGPLv3 |
15.0 | 2021/10 | ウェブサイトビルダー(CMS)を中心に基本機能の改善等 | LGPLv3 | |
14.0 | 2020/10 | ウェブサイトビルダー(CMS)機能刷新、スプレッドシート機能追加等 | LGPLv3 | |
13.0 | 2019/10 | フィールドサービスアプリ追加、レンタルアプリ追加、eラーニングデザイン刷新等 | LGPLv3 | |
12.0 | 2018/10 | マルチウェブサイト対応等 | LGPLv3 | |
11.0 | 2017/10 | スタジオリファクタ、Python3対応 | LGPLv3 | |
10.0 | 2016/10 | 生産管理機能リファクタ | LGPLv3 | |
9.0 | 2015/10 | 会計管理機能リファクタ、コミュニティ版とエンタープライズ版分離 | LGPLv3 | |
8.0 | 2014/09 | 在庫管理機能リファクタ、ウェブサイトビルダー(CMS)追加、eコマース機能追加、POS機能追加 | AGPLv3 | |
OpenERP | 7.0 | 2012/12 | ウェブクライアント改善 | AGPLv3 |
6.1 | 2012/02 | GTKクライアント開発停止 | AGPLv3 | |
6.0 | 2011/01 | ウェブクライアント追加 | AGPLv3 | |
5.0 | 2009/04 | GPL | ||
TinyERP | 4.0 | 2006/12 | GPL | |
3.0 | 2005/09 | GPL | ||
2.0 | 2005/05 | GPL | ||
1.0 | 2005/02 | 初版リリース | GPL |
Odoo Community Association(OCA)について
世界最大のオープンソースERPコミュニティです。
Odoo Community Association(OCA)はOdooの補完機能の作成・メンテナンスにおいて、コミュニティ開発者の協働を推進する非営利団体です。Odoo S.A.社がコア機能の発展を牽引するのに対し、OCAはコミュニティメンバーが携わるマーケットのニーズを反映させた補完機能の開発・保守を支えており、Odooエコシステム発展の一翼を担っています。
OCA管理下のプログラムには、Open Source Initiativeの認めるオープンソースライセンスの何れかが適用されることになっており、ほとんどのモジュールはAGPLv3またはLGPLv3でリリースされています。
OCAの作業プロセスには、厳格なコードスタイルチェック、レビューステップが組み込まれており、OCAのもとで管理されるモジュールは概して品質が安定しています。2021年1月時点で、V12で1600以上のOCAモジュールが利用可能です。
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ウェブサイト:https://odoo-community.org
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GitHub:https://github.com/oca