Odoo V19リリース - 新機能や改善ポイント

Odoo Experience 2025キーノートセッション1日目&2日目
September 26, 2025 by
Odoo V19リリース - 新機能や改善ポイント
Ryoko Tsuda (QRTL)

毎年秋の恒例となっているOdoo Experienceが今年も2025/9/18~9/20にかけてベルギーのブリュッセルにて開催され、3日間で4万人もの方が参加されました。
今回のOdoo Experienceで新しいバージョン19.0がリリースされましたので、初日と2日目のOdoo社CEO Fabien Pinckaers のキーノートスピーチから主要な新機能や改善ポイントについて、ダイジェストで解説します。


今回のバージョンアップでの主な改善点は、以下の4つです。

  • AI(人工知能の活用)
  • 新しいESGアプリ
  • 大幅に機能強化された機能(見積、購買、製造現場、会計監査、POSレストラン)
  • 100の業種別ソリューション


ここからは各改善ポイントについて簡単に説明していきます。

AI(人工知能の活用)


旧バージョンでも文章作成や翻訳などのAI機能が取り入れられていましたが、バージョン19.0ではさらに様々なアプリでAIが活用されるようになりました。

・eコマースの商品説​明を自動生成
eコマース商品説明欄でAIボタンをクリックし、文章で指示するだけで商品説明を自動作成します。
AI

・SEO最適化情報の自動作成
「オートフィル」ボタンをワンクリックするだけで、メタタイトル、ディスクリプション、サジェストキーワードを自動入力できます。


・音声文字変換
録音ボタンを押すだけで、音声の文字書き起し、翻訳、さらに要約まで行います。



・AIスタジオフィールド
OdooスタジオでAIフィールドを追加し、プロンプトに文字で指示を入力しておくと、フィールドの値をAIが自動で入力します。


・AIを使った自動アクション
自動アクションでAIで更新を選択し、更新する項目やプロンプトを入力します。こちらの例は、プロジェクト管理アプリでタスクを自動で担当者に割り当てる自動アクションです。


・ドキュメントの自動分類
ドキュメント管理アプリで自動分類の条件を文章で設定しておくと、ドキュメントをアップロードした時に自動的に分類されます。


・オープンビュー
AIプロンプトに文章で指示するだけで、Odoo内のデータを表やグラフで表示します。

ESGアプリ (Environment Social Governance)


ESG(イー・エス・ジー)とは、企業の持続的な成長のために重視される「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance、企業統治)」の頭文字をとった言葉です。EU加盟国では現在、企業に年次ESG報告書の提出を義務付ける規制を策定中です。
今後、EU域内に子会社や支店を持つ日本の企業も、このCSRD(企業サステナビリティ報告指令:Corporate Sustainability Reporting Directive)の対象となる可能性があります。

OdooのESGアプリでは、国際的なデータベースを使用して、企業の二酸化炭素排出量をリアルタイムで追跡・報告できます。




また、男女平等や賃金格差などの要素も測定できます。



機能強化された機能


全てのアプリで細かな機能が改善されていますが、今回大幅に機能が強化された機能は、購買、製造現場、会計、POSレストランです。

・見積
見積書の明細をセクションとサブセクションに整理し、不要な詳細を非表示にしたり、送料を自動計算できるようになりました。

・購買
購買において購買する商品と購買数量を決める方法はさまざまありますが、最少在庫数量や需要予測など設定に手間がかかります。新しい購買機能では、設定が不要で、季節変動への対応や、需要変動の管理が可能になり、ユーザが自由にコントロールできるようになりました。
提案ボタンをクリックし、購買の対象期間やどの期間を基準とするか、その期間に対する増減割合を指定すると、購買数量を提案し、また、その数量を手動で変更することもできます。

・POSレストラン
POSレストランでは、様々な機能がアップグレードされています。店内飲食、テイクアウト、デリバリーといったオプションをクリックひとつで設定でき、コースは前菜、メイン、デザートなど、順番にキッチンに送信できます。アルバイトはアクセス権限を制限した上で作業を進めることができます。また、お客様はモバイルメニューを開くQRコードから直接注文できるようになりました。

・会計監査
新しい監査レポート作成ツールのおかげで、年次報告書の提出が大幅に迅速化されました。あらかじめ用意された法的文書、動的フィールド、そして付属文書テンプレートを活用することで、カスタマイズされたレポートを迅速に作成できます。
また、銀行照合機能が大幅に刷新され、ほとんどの取引を自動的に消込処理します。

業種別ソリューション


昨年から各種業界向け機能に力を入れていくという話が出ていましたが、今回100の業種別ソリューションがリリースされました。
会計事務所や不動産会社から自動車学校、タトゥーショップまで様々な業種が用意されています。
業種別ソリューションの一覧はこちらからご確認いただけます。





開発者向け機能


バージョン18.0ではURLからjsonデータを表示できるようになりましたが、バージョン19.0ではURLに「/doc」と入力することで、データベース上のモデルやフィールドなどをすべて表示できるようになりました。




ここでは、紹介しきれないくらいたくさんの機能がバージョンアップされています。
こちらのブログ記事を参考に是非Odooに触れてみてください。
Odooの体験利用・インストール方法



関連リンク:


(・Odoo Experience 2025 Keynote - Company Cultureについてのブログ記事はこちら)こちら


・Odoo社によるOdoo 19 リリースノート(新機能とその説明の一覧)は2025/9/24時点で未公開(公開され次第更新します。)


・Odoo社のBlog記事"Meet Odoo 19"(概要と動画での紹介)はこちら





Odoo V19リリース - 新機能や改善ポイント
Ryoko Tsuda (QRTL) September 26, 2025
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