【Odoo導入事例】SFA Japan: Odooで本社連携を即時化、月中締めの合計請求書に対応

Odooで本社連携を即時化、月中締めの合計請求書に対応
August 29, 2025 by
【Odoo導入事例】SFA Japan: Odooで本社連携を即時化、月中締めの合計請求書に対応
Yoshi Tashiro (QRTL)

久しぶりの事例紹介です(導入事例は着実に増えているのですが、忙しさにかまけて書けていないケースがいくつかあります)。今回の事例は、SFA Japan株式会社様(以下、SFA Japan)でのOdoo導入です。フランスのグローバル企業の世界各国拠点へのOdoo導入という大枠の中で、日本法人での導入をコタエルがサポートしたものとなります。

記事のポイント:

  • 本社–日本間で販売/在庫データをリアルタイム共有
  • 定期レポート工数を約10時間削減、アフターサービス100%を基幹入力に
  • 月中締めと適格請求書(インボイス)要件に対応する合計請求書機能(AGPL)をOCAに追加

SFA Japan様について


SFAグループは1958年にフランスで設立された衛生機器メーカーで、排水圧送ポンプのパイオニアとして世界70か国以上で事業を展開しています。その日本法人であるSFA Japanは、同グループ製品の輸入・販売を担当。トイレやキッチンなど水まわり設備の設置・増設を、大掛かりな工事不要で柔軟に実現できる画期的な製品を提供し、住宅から商業施設まで国内で豊富な導入実績を持っています。

SFA Japanウェブサイト: https://sfa-japan.jp/

プロジェクト概要/背景


  • 導入スコープ:販売、購買、在庫、請求
  • 導入バージョン:16.0 CE
  • ユーザ数:約10名
  • プロジェクト期間:9か月
  • 作業時間:約600時間

SFAグループでは世界各地の現地法人との情報連携の高度化のためのプラットフォームとしてOdooを採用し、各地のOdooサービス事業者と連携してそれぞれの現地法人へのOdoo導入を進めています。

SFA Japanでは基幹システムとして弥生販売を利用していましたが、フランス本社との情報連携は、月次のシステム外でのデータ集計に依存しており、タイムリーさに課題がありました。

SFA JapanでのOdoo導入では、Odooコミュニティ協会(OCA)での活動実績があることと、フランス本社と英語でコミュニケーションがとれるという理由で、コタエルのサービスをご利用いただくことになりました。

SFAグループ全体のOdoo導入はベトナムのOdooパートナーであるKomit社がサポートしており、インフラ周りの設定やグループ共通機能の仕組みの把握のため、Komit社との連携も必要でした。

プロジェクト遂行


プロジェクト期間中、SFA Japanの皆さまとの定例会議と、フランス本社の皆さまを交えた定例会議を週次で開催し、進捗報告と課題の棚卸、アクション設定、スケジュールの組み立てを繰り返しながら、システムを完成形に近づけていきました。

プロジェクトの序盤は、フランス本社やKomit社との情報連携の比重が高く、コタエルにてグループ全体の前提事項を把握した中盤以降は日本固有の要件への対応を進め、終盤はOdooへの切替に向け、会計周りの運用設計と、会計事務所様との認識合わせに注力しました。

プロジェクト作業はすべてリモートで進めたのですが、SFA Japan代表の荻野様には福岡ご出張の際にお会いし、フランス本社のIT部門の皆さまにはベルギーにて、Odoo Experience 2024の会場でお会いすることができました。

日本固有要件:月中締めの合計請求書への対応


初期の段階で認識した大きなテーマとして、月次での合計請求書の発行がありました。日本においては、特定顧客との取引が頻繁に発生する製造業・卸売業・小売業等の業種では合計請求書を発行するのが通例ですが、SFA Japanでもこの業務が存在します。

ですが、Odoo本体のみではこの要求には十分に対応していません。Odoo標準機能では、複数オーダの一括請求は可能ですが、日本特有の月中締め(20日締など)が絡むと会計期間との整合が崩れてしまうところに課題があります。

以前から認識していたギャップではあったのですが、これまでのOdoo導入プロジェクトでは、たまたま月中締めの取引条件がなくOdooの標準機能を使うことができたか、個別請求書の運用に切り替えていただくかで、なんとか対応してきました。ですが、SFA Japanでは取引先と構築してきたプロセスを崩せないという事情があり、システム側での対処が求められました。

今回のプロジェクトでの最大のギャップはこれで、会計要件を満たす合計請求書機能を作成することになりました。

一方で、これ以外には要求とOdooの仕組みに大きな構造的なギャップはなく、システム側に調整を入れるべきという判断をした要件には、いつも通り、できるだけ既存のOCAモジュールを活用し、OCAにない機能は作成してOCAに提案するという動きをとりました。

グローバルOdoo導入における合意形成


導入規模にしてはステークホルダーが比較的多かった点において、一般的な日本国内における同規模のOdoo導入プロジェクトとは少し勝手が異なりました。ユーザ(SFA Japan)の他、フランス本社のIT部門と財務部門、Komit社、会計事務所のそれぞれと連携し、情報をつなぎ合わせて適切な結論を出していくことが求められました。

基幹システムのグローバル展開では、既に枠組み(グローバルでの方針等)がある程度決まっている中で、それを理解し動き方を合わせる必要があります。また、各組織間で現状どのように情報連携がされているのかを把握し、Odooを入れることによってそれがどう変わるのか/変えるべきなのかを示して、その変化を現実のものとしていかなければなりません。システム導入における機能実装の側面よりも、プロジェクト管理やチェンジマネジメントの方面での難しさが比較的高く、ゴールを見失うことなく、複数言語でステークホルダー間の意識を揃えていく作業に神経を使いました。

Komit社との連携に関しては、使用しているプラットフォームや作業手順が、自分たちが慣れているものとは違い、当初はそこに戸惑いもありました。ですがKomit社はOCAのコントリビュータでもあり、考え方やOCAのソリューション等について、予め一定の共通理解が持てているところからのスタートであったため、かなりスムーズに連携ができました。

SFAグループにとっての成果


Odooの導入により、フランス本社とSFA Japanの間で販売実績・在庫状況がリアルタイムで共有できるようになり、情報連携の密度が高まりました。

以前は、SFA Japan内部での販売実績の共有と、本社向けの損益分析の共有に、それぞれ弥生販売のデータをマクロを駆使してレポート作成していましたが、この作業もOdooのレポート出力で完結できるようになり、月約10時間の削減を達成することができました。

また、アフターサービス部門の業務をOdooに載せることができました。アフターサービスについては、様々なクライアントから突発的にリクエストが来るため、システム上での情報管理が後手に回っていたのですが、Odoo導入を機に、100%の顧客オーダーをタイムリーに基幹システムに入力する運用となりました。

SFA JapanでのOdoo導入は、SFAグループとして業務基盤を統一することを最大の目標としており、日本の業務オペレーション効率の改善という観点では正直あまり期待されていませんでした。ですが、ユーザの皆様にOdooの仕組みを理解いただき、OCAモジュール等を駆使して必要な業務ロジックの組み込みや自動化、操作性の改善を施すことで、データ入力や業務レポート出力の面においても、一定の成果を挙げることができました。

コミュニティにとっての成果


SFA Japanでの利用のために開発した合計請求書機能は、OCAのもとで、誰でも使えるオープンソースモジュール(AGPLライセンス)として公開することができました。

この機能では、会計上の売上計上と合計請求書を切り離すことで、適切なタイミングでの売上・原価認識を確保しながら20日締など月中締めの合計請求書作成に対応します。また、合計請求書として消費税額を再計算することで適格請求書(インボイス)要件にも対応します。

日本の合計請求書は、Odoo社からもローカリゼーションのニーズとしては認識されながらも、日本の商習慣とOdooの仕様を正確に理解した上でのソリューション組立が必要であるため、なかなかOdoo社側での対処が難しいトピックでした。

作成した合計請求書機能は、既存のOCAモジュール(account_billing等)に依存するものです。また、合計請求書の運用構築で使用することが望ましい他のOCAモジュールもいくつかあり、日々のOCAでの活動を通じてこれらの引き出しを既に持っていたことが、今回のソリューション構築を下支えしました。

OCAに合計請求書機能を追加することができたのは、ひとえにSFA Japanのご理解と費用負担によるものです。これからこの機能を利用する皆さまは、ぜひSFAの排水圧送ポンプの購入をご検討ください!

まとめ


SFA JapanのOdoo導入は、グローバル企業での基幹システム水平展開ならではの難しさと面白さがふんだんに盛り込まれたプロジェクトでした。

SFAグループとしては本社-日本間での情報連携の迅速化を実現し、SFA Japanでは業務基盤の高度化と、業務の整理・効率化を達成しました。

また、日本のOdooユーザは合計請求書機能というコミュニティ資産を手に入れ、日本でOdooを使うにあたっての大きなハードルが一つ解消されました。

コタエルはこれからも、コミュニティ活動と連動してお客様に価値をお届けするスタイルで、Odooエコシステムの維持・発展に貢献していきます。そして、多くの企業がリーズナブルな価格で高品質なERPサービスが受けられるマーケット環境の醸成に努めます。

お客様の声



(Odooを導入するにあたって)日頃忙しくしている実務担当者さんの時間的・精神的負担をなるべく少なくすることが最優先でした。そういった意味で、最高のパートナーに巡り合えました。プロフェッショナルな技術の分野でお助け頂いたと同時に、我々の仕事の流れおよびフランス本社含む組織の構成にもきめ細かい理解および繊細な配慮を頂き大変有難かったです。


General Manager • 荻野様


長期にわたるプロジェクトの中、常に前向きで丁寧にご対応いただき感謝しています。課題に直面した際にも、現行オペレーションを考慮した柔軟な提案をいただきました。特に、アフターサービスの請求書管理を従来のエクセルではなくOdoo上で行えるようになり、消込作業が効率化された点は大きな改善です。また丁寧なトレーニングとサポートのお陰で、安心してシステムの移行ができました。

Office Director • 谷上様


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