Odoo Experience 2025 Keynote - Company Culture

Odoo Experience 2025 キーノートセッション 3日目
October 2, 2025 by
Odoo Experience 2025 Keynote - Company Culture
Ryoko Tsuda (QRTL)

2025/9/18~9/20にかけて、Odoo Experience 2025がベルギーのブリュッセルにて開催されました。3日目のOdoo社CEO Fabien Pinckaers によるKeynoteセッションでは、 Master Class: Hyperscale & Company Cultureというテーマで講演が行われ、Odoo社がこれまでどのような経緯で、また、どのような方針で急成長を遂げてきたかということが紹介されました。

まずは、Odoo社CEO Fabien PinckaersとOdoo社の来歴を時系列に簡単にまとめましたので、こちらを参考にしていただきながら、後半にまとめましたFabienのKeynote講演3日目をご参照ください。

Fabien Pinckaers と Odoo社の来歴


1979年 ベルギーにて生まれる。13才でプログラムを書いて販売。

2002年 大学でコンピュータサイエンスを専攻し、在学中にTinyERPを起業

2005年 TinyERPからOpenERPに変更

2013年 300万ユーロを調達OCA(Odoo Community Association)が設立される

2014年 5月OpenERPからOdooにリブランド。1,000万米ドルを調達。マーケティングと営業活動を強化。


※ Odooの名称は、2014年のトップ10インターネット企業名に含まれる「O」の数と企業価値の間に相関関係があることに気づいたことから選ばれました。


2015年 オープンコアモデルに移行。V9.0リリース以降、オープンソース版に加えて、サブスクリプションベースの独自のエンタープライズソフトウェアとクラウドホスト型のソフトウェアをサービスとして提供2019年 9000万ドルの少数株投資を受ける


2022 年 10月料金体系を変更。アプリケーションとユーザーベースのライセンスモデルから、すべてのアプリケーションが含まれる単一ユーザーベースのライセンス モデルに切り替え

参考媒体:

https://www.odoo.com/ja_JP/page/fabien-pinckaers-biography

https://muchconsulting.com/blog/odoo-2/odoo-story-79

https://www.odoo.com/ja_JP/blog/odoo-news-5/the-odoo-story-56#blog_content

https://en.wikipedia.org/wiki/Odoo

https://youtu.be/vgvbRRVreHI

https://www.summitpartners.com/news/odoo-announces-90-million-investment-led-by-summit-partners

Master Class: Hyperscale & Company Culture


ここからは Fabien によるKeynote講演の内容をご紹介します。

従業員数の推移

2022年にひとりで起業してから、現在では従業員数6,500人にまでなりました。


売上成長率の推移

過去20年間の成長率は、平均66%です。1,000万ユーロの資金調達に対して、70億ユーロのバリュエーションとなっています。


経営は短距離走ではなく、マラソン

長期思考で経営する。例えば、効果が短期的なニュースレターやブログではなく、長期的に役に立つトレーニングマテリアルに力を入れます。


プロダクトより大事なものはない!

いまでも仕事時間の50%以上をプロダクトに費やしています。パーティや接待で時間を無駄にしません。


プライシングが重要

毎年価格を変更していた時期もあり、顧客の信頼を失うことになりました。これは今までで最も大きな失敗で、逆に3年前の価格体系の変更は、最も大きな成功となりました。


ビジネスモデルの構築が大事

ビジネスモデルを構築するのに10年かかりました。当初はサービスにより売上をあげていましたが、顧客は導入後はメンテナンスにお金を払いたがりません。オープンソースに強いこだわりがありましたが、全てをオープンソースにしていては開発費を捻出することができなかったため、オープンコアモデルに移行しました。


資金調達は目的ではなく手段

資金調達はキャッシュを得るためにではなく事業転換のために行います。株を買い戻すことはできないので、資金調達はコストであることを認識しましょう。


業績が厳しい時期

今月の給料が払えない、というような倒産の危機が7年間、断続的にありましたが、年単位のサブスクリプションを月単位に変更するなどしてキャッシュフローが安定しました。

段階的にリストラを行うと、残った人のモチベーションが下がります。リストラするときは一気に行います。業績が悪い時こそ残った従業員と十分にコミュニケーションを取ることが重要です。


何よりも実行!

計画、定例ミーティング、予算、管理、目標管理よりも実行が重要です。

やることを決めるよりやらないことを決めましょう。Focus(集中)することが大事です。

10年前、OdooをWebベースに変更すると決めた時、1年間それだけに集中しました。新しい機能を開発することは禁止し、Webベース対応のみに集中しました。


シンプルであれ!

シンプルであることを大事にしています。例えば、Odoo 企業版の契約書は8ページのみです。シンプルであるためには、契約や予算、定例ミーティング、承認または意思決定プロセスは必要ありません。予算を立てるよりも、責任を持って自分で計算し自分で決めることが大事です。予算を決めると、決まった予算を使うだけです。


私たちのビジョンは、価格に対しての価値を上げること

プロダクトの価値をあげること、また、トータルコストを下げること、により価格に対しての価値を上げることにこの20年間注力してきました。


人材採用は、知識や経験ではなく、能力を判断基準とする

開発者には開発のエクササイズを、営業にはデモを、ビジネスアナリストには知識のない分野のビジネスフローを考えることを、全員にIQテスト/論理テスト、英語で書くこと・話すことを採用のテストとして行います。

採用で失敗した場合は1年以内に解雇した方がよいでしょう。会社の風土を維持するためには合わない従業員は早めに解雇します。


マネージャーであるよりチームリーダーであれ

チームリーダーの仕事は、模範を示すことでチームを引っ張っていくことで、管理することではありません。


チームリーダーの役割

チームリーダーの役割は、計画、予算管理、経費や休暇の管理、KPIやレポート作成ではありません。チームリーダーの仕事は、チームをよりよくすることだけです。チームメンバーがチームリーダーから学べるように環境を整え、チームメンバーを信頼し、ボトルネックがある場合には手助けをし、チームメンバーが生産性を高められるようにします。


マイクロマネジメントではなくマイクロレビューを行う

マネージャーはすべてのことに平均的に時間を使います。チームリーダーは、重要なイシューが発生した時にそこに集中して時間を使います。


チームリーダを選ぶ条件

マネージャーではなく、その職種に長けた人を昇進させます。チームに教えることができるからです。


モチ​ベーション

モチベーションは、自律性、責任、進化・成長から生まれます。


私たちのように急成長したいならOdooを使いましょう!




関連リンク:

・Odoo V19リリース - 新機能や改善ポイントについてのブログ記事はこちら

・Odoo社によるOdoo 19 リリースノート(新機能とその説明の一覧)はこちら

・Odoo社のBlog記事"Meet Odoo 19"(概要と動画での紹介)はこちら

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