OCA(Odoo Community Association)とは?Odoo導入前に知っておきたい役割とメリット

Odooに取り組むすべての人の基礎知識
January 22, 2026 by
OCA(Odoo Community Association)とは?Odoo導入前に知っておきたい役割とメリット
Ryoko Tsuda (QRTL)

本記事では、Odooの導入を検討中の方やOdooを利用している方に向けて、 OCAとは何か、そしてOCAの活動がなぜ重要なのかを分かりやすくご紹介します。

ERPをはじめとする多くの業務システムは、これまでプロプライエタリ(クローズド)なソフトウェアとして提供されてきました。そのため、中小企業向けERPを探す中で初めてOdooを知った方の中には、 「オープンソース」や「コミュニティ」という考え方に、あまりなじみがないという方も多いのではないでしょうか。

オープンソースとは、 ソフトウェアの中身(ソースコード)が公開されており、誰でも内容を確認でき、一定の条件のもとで改良や再配布ができる仕組みのことを指します。

Odooは「オープンコア型ERP」と呼ばれるソフトウェアで、 システムの基本となる部分(全体のおよそ80%)がオープンソースとして公開されています。Odooのコミュニティ版のソースコードは、GitHub上で誰でも閲覧することができます。

オープンソースとコミュニティ


Odooに限らず、どのオープンソースソフトウェアも、コミュニティと呼ばれるボランティアの活動によって支えられています。 代表的な例としてよく挙げられるのが Linux です。

Linuxのコミュニティでは、 世界のどこかで見つかったバグが報告され、 時差のある別の地域の開発者がその修正を行い、 さらに別の人がテストを行う―― といった形で、短時間のうちに問題が解決されることも珍しくありません。この一連の活動は、企業や個人が自発的に参加する形で行われています。

開発者にとっては、 コミュニティへの貢献を通じて技術力や実績が評価され、 コミュニティ内での信頼やステータスを築くことができます。

一方で利用者は、 継続的にバグが修正され、新しい機能が追加されることで、 ソフトウェアを安心して使い続けることができます。

このように、 「使う人」「作る人」「改善する人」が循環しながら価値を高めていく仕組みこそが、 オープンソースを支えるコミュニティのエコシステムです。

Odooのコミュニティ


Odooにも、他のオープンソースソフトウェアと同様に活発なコミュニティが存在します。 このコミュニティでは、Odooの標準機能だけではカバーしきれない汎用的な機能の開発や、 Odoo社による公式サポートが終了したバージョンに対するバグ修正などが行われています。

その役割を担っているのが、「OCA(Odoo Community Association)」です。

 OCAは2013年に設立され、Odooパートナー企業の開発者をはじめ、世界中の多くの開発者が参加しています。

ここで、「Odooに足りない汎用的な機能があるなら、なぜOdoo社が標準機能として開発しないのか」と疑問に思う方もいるかもしれません。

その理由は、Odoo社が細かな個別ニーズへの対応よりも、毎年のバージョンアップによる大きな機能進化に注力してきたからです。Odoo社は毎年新しいバージョンをリリースし、システム全体の完成度や使いやすさを高めることを優先する、という戦略を取っています。

そして、OCAというコミュニティが存在するからこそ、Odoo社はその戦略を実現できているとも言えます。

 Odoo社がコア部分の進化に集中し、OCAが現場で求められる汎用機能を補完する――この役割分担が、OdooというERPを継続的に成長させてきた大きな理由の一つです。

これからOdooを選ぶ企業が知っておきたいOCAの価値


これからERPとしてOdooを選ぼうとしている企業にとって、OCA(Odoo Community Association)の存在を理解しているかどうかは、実はとても重要なポイントです。

OCAモジュールを活用することのいちばん分かりやすいメリットは、無料で利用できるという点ですが、それ以外にも大きなメリットがあります。長期的なメリットは目に見えづらいので、詳しく説明したいと思います。

ERPは一度導入すると、10年、20年と長く使い続けるシステムです。

 そのため「今の機能」だけでなく、将来にわたって安心して使い続けられるかという視点が欠かせません。

ベンダーに依存しすぎないという安心感


一般的なERPでは、特定のベンダーや開発会社に強く依存するケースが少なくありません。その会社が撤退したり、サポート方針を変更した場合、システムの将来が不透明になってしまうリスクがあります。

Odooの場合、OCAという世界規模のコミュニティが存在し、

  • 多くの企業・エンジニアが開発・保守に関与している
  • 機能やノウハウがオープンに共有されている
  • 特定の一社に依存しない形で資産が蓄積されている

という点が大きな特徴です。

これはユーザー企業にとって、「ベンダーロックインを避けやすいERP」であることを意味します。

実績あるモジュールを活用できる


OCAでは、世界中のOdooパートナーが開発したモジュールが公開されています。これらは実際の業務課題を背景に作られ、プロジェクトで使われてきたものです。

つまり、

  • ゼロから作らなくてよい
  • 実績のある設計を活用できる
  • 将来的な改修・拡張もしやすい

といったメリットがあります。

企業側から見ると、開発コストやリスクを抑えながら、自社に合ったERPを構築できるという価値につながります。

長期運用・バージョンアップへの強さ


ERP運用でよくある悩みの一つが、「バージョンアップが大変」という問題です。

独自カスタマイズが増えすぎると、将来のアップデートが困難になってしまいます。OCAのモジュールは、

  • 共通ルールに基づいて設計されている
  • コミュニティ全体でメンテナンスされている
  • 新バージョンへの対応が継続的に行われている

という特徴があります。

そのため、「作って終わり」ではなく、「育て続けられるERP」を実現しやすくなります。

OCAを理解しているパートナー選びが重要


Odooを選ぶ際には、「どのOdooパートナーと組むか」が成功を大きく左右します。

OCAの考え方を理解し、必要に応じてコミュニティに還元しながら開発を進められるパートナーであれば、

  • 将来を見据えた設計
  • 保守性・拡張性の高い実装
  • グローバル標準に沿ったERP構築

が期待できます。

OCAはOdooの“安心の土台”


OCAは目に見える機能ではありませんが、OdooというERPを支える非常に重要な土台です。

これからOdooを選ぶ企業にとって、

 OCAの存在は、

  • 安心して長く使えること
  • 柔軟に変化に対応できること
  • 将来の選択肢を狭めないこと

を支えていると言えるでしょう。

Odooを単なる「ERP製品」としてではなく、成長し続けるエコシステムとして捉えることが、Odoo導入を成功させる第一歩だと私たちは考えています。

日本でのOCA活動の状況


日本国内でもOdooパートナーは徐々に増えてきていますが、OCAのモジュール開発に実際に継続して関わっている企業は、現時点ではまだ多くありません。 その中で、コタエルはOCA活動に積極的に取り組んでいる数少ない日本の企業の一つです。

OCAの l10n-japan レポジトリは、日本向けのローカリゼーション(会計・税制・商習慣対応)を行うための公式なリポジトリですが、 現在登録されているモジュールは、いずれもコタエルが開発・メンテナンスを行ってきたものです。

一方で最近では、日本のOdooパートナー企業や利用者から、 コメントや改善提案、修正意見が寄せられるようになってきました。 少しずつではありますが、日本国内でもOCA活動やコミュニティ開発の存在が認知され始めていると感じています。

現在、日本ではOdoo自体の認知度も着実に高まっています。 コタエルとしては、今後さらにOdooパートナー各社と協業しながら、コミュニティ活動を活発化させ、日本でOdooをより安心して、より使いやすく利用できる環境を整えていきたいと考えています。

日本でのOCA活動の状況


日本国内でもOdooパートナーは徐々に増えてきていますが、OCAのモジュール開発に実際に継続して関わっている企業は、現時点ではまだ多くありません。 その中で、コタエルはOCA活動に積極的に取り組んでいる数少ない日本の企業の一つです。

OCAの l10n-japan レポジトリは、日本向けのローカリゼーション(会計・税制・商習慣対応)を行うための公式なリポジトリですが、 現在登録されているモジュールは、いずれもコタエルが開発・メンテナンスを行ってきたものです。

一方で最近では、日本のOdooパートナー企業や利用者から、 コメントや改善提案、修正意見が寄せられるようになってきました。 少しずつではありますが、日本国内でもOCA活動やコミュニティ開発の存在が認知され始めていると感じています。

現在、日本ではOdoo自体の認知度も着実に高まっています。 コタエルとしては、今後さらにOdooパートナー各社と協業しながら、コミュニティ活動を活発化させ、日本でOdooをより安心して、より使いやすく利用できる環境を整えていきたいと考えています。

OCAには具体的にどんなモジュールがあるの?


では、実際にOCAにはどのようなモジュールがあるのでしょうか。

OCAでは、Odooの標準機能だけではカバーしきれない汎用的な機能や、各国・各業界でよく使われる追加機能が数多く開発・公開されています。

 その数は非常に多く、初めてOCAに触れる方にとっては「どれを使えばいいのか分からない」と感じるかもしれません。

そこで、日本でOdooを導入する際によく使われるOCAモジュールについては、以下のブログ記事で分かりやすく紹介しています。

また、コタエルHPのフォーラムでは、さまざまなOCAモジュールについて 機能の概要や具体的な使い方 を解説しています。導入検討中の方や、実際に使い始めた方にとって参考になる内容ですので、ぜひご覧ください。

OCAモジュールは、OCAのアプリストアからキーワード検索で探すこともできます。 ただし、アプリストアでは GitHub上に存在するすべてのモジュールや全バージョンが網羅されているわけではありません。そのため、より幅広く情報を調べたい場合は、GitHub上のOCAリポジトリもあわせて確認することをおすすめします。

コミュニティ活動の課題


ここまでOCAの良い面についてお話ししてきましたが、最後に OCA活動が抱える課題 についても触れておきたいと思います。

OCA活動は、基本的に ボランティア(無償) で行われています。

 「OCAモジュールを活用しましょう」と言うこと自体は簡単ですが、実際にその機能を開発・保守するためのコストを誰が負担するのか という点は、常に大きな課題になります。

コタエルでは、お客様の要望によって開発した機能のうち、他の企業でも利用価値が高いと判断できる汎用的な機能については、OCAモジュールとして公開することをご提案しています。

 その際、開発費用については、原則としてその機能を最初に必要とされたお客様にご負担いただいています。

実際の事例として、以下のケースでは月締め合計請求書機能 を、日本向けローカリゼーションのOCAモジュールとして開発しました。

この事例は比較的大きな開発でしたが、他にもコタエルのお客様には、大なり小なりOCA活動の意義をご理解いただき、同様の形でご協力をいただいています。この場を借りて、あらためて感謝申し上げます。

一方で、「自社が費用を負担して開発した機能を、他社が無償で利用できるのは不公平ではないか」 と感じる方がいらっしゃるのも、もっともな意見です。

この点については、費用負担の公平性をどう担保するか という課題が確かに存在します。複数社での共同開発や、将来的なコスト分担の仕組みについても検討の余地がありますが、現時点では万能な解決策があるわけではありません。

それでもコタエルがOCA活動を続けているのは、短期的なコスト以上に、長期的な価値がある と考えているからです。具体的には、OCAモジュールとして公開することで、他社による改良やバージョンアップ対応が行われる可能性があり、その成果を自社も無償で利用できる場合があり、コミュニティならではの循環 が生まれます。

こうしたメリットが、最終的には お客様自身の利益につながる と私たちは考えています。

OCA活動は、決して「楽な道」ではありません。

 しかし、Odooを安心して、長く使えるERPとして育てていくためには欠かせない存在です。コタエルはこれからも、 単にOdooを導入するだけでなく、お客様や他のOdooパートナーと共にOdooというエコシステムそのものに価値を還元し続ける パートナーでありたいと考えています。


OCAについての関連リンク:

OCA (Odoo Community Association)

https://odoo-community.org/

OCAの開発活動は、GitHub上の以下の環境で行われています。

https://github.com/OCA

OCAモジュールの翻訳については、Weblateというプラットフォームが使われています。

https://translation.odoo-community.org/

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